内臓動脈瘤とは
胃・腸管・肝臓・膵臓・脾臓・腎臓などの腹部内臓を栄養する血管に発生した動脈瘤です。発生する血管によって腹腔動脈瘤・肝動脈瘤・脾動脈瘤・上腸間膜動脈瘤・腎動脈瘤などの名称があります。発症率は全人口の1%程度と珍しい病気です。原因として、動脈硬化・動脈解離・正中弓状靱帯圧迫症候群(median arcuate ligament syndrome: MALS)・分節性動脈中膜融解(segmental arterial mediolysis: SAM)などが挙げられますが、原因不明なことも多くあります。
どうやって見つかるの?
症状はあるの?
ほとんどの患者さんでは自覚症状はありません。他の病気で医療機関を受診するか人間ドックなどで、たまたま腹部のCT、超音波検査をした際に偶然発見されることがほとんどです。偶然発見されてから血管外科専門医のいる医療機関を紹介されます。破裂に至った場合に腹痛や意識消失などの症状が出現します。破裂した場合大量出血のために死に至る可能性があります。
治療は?
動脈瘤の位置や形状・大きさによって破裂の危険性が高いと判断された場合には治療が必要となります。治療方法には動脈瘤切除+バイパス術やコイル塞栓術などの方法がありますが、動脈瘤の位置によって最適な方法を選ぶ必要があります。
内臓動脈瘤に対するバイパス手術
開腹して動脈瘤を切除して人工血管または自身の静脈でバイパス術を行います。動脈瘤を切除することによって内臓への血流がなくなってしまう場合に選択されます。
上腸間膜動脈瘤に対する人工血管置換術
肝動脈瘤に対する静脈置換術
内臓動脈瘤に対する血管内治療
カテーテルにて治療を行います。コイル塞栓術によって動脈瘤への血流を遮断して破裂を予防します。塞栓によって臓器への血流が低下する可能性があるため、側副血行路(他の部位からの血流)が乏しい臓器では実施できないことがあります。
上腸間膜動脈瘤に対する人工血管置換術